数値を読む前に、まず集計単位を区別しなければならない
密閉空間における窒息事故の統計は、一つの数字だけを取り出して使いやすい。しかし、事故件数、被災者数、死亡者数はそれぞれ異なる単位である。一つの事故で複数人が倒れることがあるため、事故1件が被災者1人を意味するわけではない。被災者は死亡者と負傷者を含む人員単位であり、死亡者はそのうち死亡した人だけを数える。資料ごとに集計期間まで異なれば、単純な増減計算はさらに危険になる。
雇用労働部が2022年5月に公表した資料は、2012年から2021年までの10年間を対象としている。この期間の窒息事故は196件、被災者は348人、死亡者は165人だった。165人を348人で割った致死率は47.4%である。ここでいう47.4%は、事故100件当たりの死亡件数でも、全産業災害に占める窒息事故の比率でもない。窒息事故で被災した人のうち死亡した人の割合である。
安全保健公団の2024年7月の資料は、別の移動10年区間である2014年から2023年までを扱っている。この資料では、窒息事故174件、被災者338人、死亡者136人と示されている。被災者に占める死亡者の割合は40.2%である。二つの資料は開始年と終了年がともに異なり、重なるのは2014年から2021年までに限られる。したがって、196件から174件に減った、あるいは死亡者が165人から136人に減少したと直ちに結論づけることはできない。同一の年別原資料を同じ基準で再構成していない限り、これは異なる二つの10年要約値にすぎない。
直近10年の数値が示すのは、頻度よりも致死性である
2014~2023年の資料では、174件の事故で338人の被災者が発生した。一件当たりの平均被災者数は約1.94人だが、この平均を典型的な事故規模と誤解してはならない。単独作業中に一人だけが被害を受ける事故と、救助を試みた同僚まで連鎖的に被害を受ける事故が、ともに含まれているためである。平均は全体の負担を示すにとどまり、個々の現場の危険範囲を定めるものではない。
より重要な兆候は、被災者338人のうち136人が死亡した事実である。同じ資料は、窒息災害の致死率40.2%を、同期間の一般的な事故性災害の死亡率0.98%と比べて約41倍と説明している。比較の基準はいずれも被災者に占める死亡者の割合である。つまり窒息事故は、全事故の中で最も頻繁に起きると言える統計ではなく、ひとたび人が被害を受けると死亡につながる可能性が極めて高い事故群だという意味である。
2012~2021年の集計でも結論は同じである。当時は被災者348人のうち165人が死亡し、致死率は47.4%だった。公表資料が用いた一般的な事故性災害の致死率1.1%と比べると44倍だった。比較期間と一般的な事故性災害の基準が2024年資料とは異なるため、41倍と44倍の差を傾向として解釈することはできない。ただし、異なる移動期間でも窒息災害の結果が際立って致命的だという方向性は一貫している。
夏の危険は明らかだが、季節限定の事故ではない
安全保健公団の2014~2023年集計では、174件のうち夏季の事故は52件で、約29.9%だった。気温が上がると、汚水・廃水、ふん尿など有機物の腐敗や微生物の活動が活発になり、硫化水素が発生する危険が高まることがある。そのため、浄化槽、汚水・廃水処理施設、家畜ふん尿処理施設、マンホール、集水槽は、夏季に特に注意すべき作業場所である。
しかし、残る約70%が夏以外の時期に発生した点も併せて読む必要がある。冬季のコンクリート保温養生空間では、褐炭や木炭の燃焼によって一酸化炭素が蓄積することがある。タンク、配管、反応器では、窒素やアルゴンなどの不活性ガスが酸素を押し出すことがある。季節対策だけを強化すると、作業工程で新たに生じる危険を見落とす。暦より重要なのは、作業前にどの気体が発生・流入・残留し得るかを確認することである。
密閉空間は四方が塞がれた部屋だけを意味しない
2026年3月2日施行中の「産業安全保健基準に関する規則」第618条は、密閉空間を、酸素欠乏または有害ガスによる窒息・火災・爆発の危険がある場所のうち、別表18に定める場所と定義している。要点は空間の外観ではなく、危険が形成される可能性である。上部が開いていても、空気の流れが不足し、重い有害ガスがたまる可能性のあるピットや沈殿槽は、密閉空間となり得る。
同条の適正空気の基準は、酸素18%以上23.5%未満、二酸化炭素1.5%未満、一酸化炭素30ppm未満、硫化水素10ppm未満である。この四つの数値は、すべての有害因子を包含する万能の安全線ではない。作業で他の有毒物質や可燃性ガスが生じる可能性があれば、その物質も評価しなければならない。測定器が酸素だけを表示しているからといって、硫化水素や一酸化炭素の危険までなくなるわけではない。
別表18には、長期間使用していない井戸、地下の暗渠・マンホール・ピット、汚水や廃水など腐敗しやすい物質がある浄化槽・沈殿槽・集水槽・タンク・管、不活性ガスが入っていた設備、コンクリート養生場所などが列挙されている。事業場は「密閉空間」という名称の設備だけを探すのではなく、この一覧と実際の工程を照合して、まず危険空間の地図を作らなければならない。
計測の空白は、基準がないために生じる問題ではない
現行規則第619条は、事業主に密閉空間作業プログラムを策定させ、作業開始前に作業情報と作業者、酸素・有害ガスの測定結果、作業中のガスの漏えい・流入・発生可能性、保護具、緊急連絡体制を確認させている。第619条の2は、知識と実務経験を持つ者を指定し、測定装置を支給して、作業開始前に酸素と有害ガスの濃度を測定・評価させる。いったん中断した後に作業を再開する場合も含まれる。2025年12月の改正内容を反映した現行条文は、無線設備または無線通信を用いる遠隔測定も明示的に含めている。
したがって、国内統計だけを根拠に「事故の何パーセントが測定器未保有のために起きた」と言うことはできない。公式の10年要約統計は事故・被災者・死亡者を示すが、すべての事故について、測定器の保有状況、校正状態、測定時刻、測定位置、作業中の連続監視の有無を同じ形式で公開してはいない。本稿でいう計測の空白は、そのような原因割合を恣意的に作った表現ではない。高い致死性、法定の測定義務、現場空気の時間・空間的変化の間で、測定値が実際の作業統制につながらない運用上の隔たりを指す。
一度測定した正常値は、作業全体を保証しない
密閉空間の空気は均一でないことがある。硫化水素は低い場所にとどまることがあり、配管を開けたり、スラッジを踏んでかき混ぜたりした瞬間に濃度が急変することがある。換気を止めたときや、作業者がいったん出て再び入るときにも条件は変わる。入口で一度測定した値だけを記録し、内部の深さごとの違いや作業中の変化を見なければ、記録があっても危険を見逃すおそれがある。
安全保健公団の測定案内は、密閉空間の面積と深さを考慮して内部をまんべんなく測定し、深い場所では採気管を活用するよう説明している。また、作業の再開、労働者の状態や換気装置の異常などで条件が変われば、再確認しなければならない。現行法令が、作業を一時中断して再開する場合まで「作業開始」に含める理由も、空気の状態が固定値ではないためである。
実務では、少なくとも次の問いに答えられなければならない。
何を測定したか:酸素だけでなく、工程上予想される硫化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、可燃性ガスなどを含めたか。
どこで測定したか:入口、上部、中間、下部および作業地点の値を区別したか。
いつ測定したか:初回入場前、再入場前、作業条件変更後、作業中に必要な時点を記録したか。
誰が判断したか:装置の操作と結果評価に必要な知識と経験を持つ指定者が確認したか。
値が基準を外れた場合に何をしたか:立入り統制、換気、再測定、呼吸用保護具および作業中止の基準が結び付いているか。
センサー研究が示した優先順位と限界
産業安全保健研究院の先端センサー測定装置研究は、2011~2018年の窒息災害を分析し、被災者256人のうち136人が死亡したと報告した。この研究区間の致死率は53.1%だった。原因物質の優先順位は酸素欠乏、硫化水素、一酸化炭素の順で示され、季節別では夏に硫化水素、冬に一酸化炭素が主な原因だった。この数値も2012~2021年または2014~2023年の集計とは期間が異なるため、直接の増減比較をしてはならない。
研究結果は、多成分測定の必要性を裏付ける。しかし、センサーを設置するだけで作業許可が完成するわけではない。センサーの測定範囲と応答時間、吸引式装置のホース長による遅延、校正とバンプテスト、警報設定、データ通信障害、バッテリー状態を管理しなければならない。遠隔センサーは、人が先に入って測定する危険を減らし、傾向を残すことができるが、通信断やセンサー汚染が「安全」の信号と誤認されないよう、故障時に安全状態へ移行する手順が必要である。
国家産業災害統計と窒息事故の要約値は、同じ時計ではない
雇用労働部の2024年産業災害現況は、2024年1月から12月までの統計だが、災害発生日ではなく勤労福祉公団の労災補償承認日を基準に集計する。たとえば、2023年12月に発生した事故が2024年12月に承認されれば、2024年統計に入る。これに対し、窒息事故の10年分析資料は、事故が発生した期間を示した要約である。
この違いは、現場ダッシュボードを設計するときにも重要である。事故発生日、届出日、労災承認日、死亡日を一つの日付にまとめると、政府公表値と内部記録を照合しにくくなる。事故件数と被災者数も別フィールドでなければならない。一つの事故で作業者と救助者がともに被害を受けた場合、事故識別子は一つでも人の記録は複数になる。測定記録には、装置識別番号、測定位置と高さ、時刻、測定値、換気前後の状態、警報および措置履歴を結び付ける必要がある。そうして初めて、事故後の文書ではなく、作業中の意思決定資料になる。
事業場が減らすべき四つの計測の空白
第一は空間の空白である。密閉空間の一覧にない集水槽、ピット、仮設テント、設備内部は、測定計画からも漏れる。設備の名称ではなく、物質、工程、換気および出入りの形態によって、漏れなく確認しなければならない。
第二は時間の空白である。朝の測定値を午後の作業まで再利用したり、休憩後の再入場時に確認しなかったりすれば、変化は記録されない。換気の中断、スラッジの攪乱、配管の開放、溶接や洗浄剤の使用のように、条件が変わる出来事を再測定の条件として定めなければならない。
第三は物質の空白である。酸素計だけで硫化水素、一酸化炭素または可燃性ガスを判断することはできない。作業ごとのリスクアセスメントにより必要なセンサーの組合せと測定範囲を定め、交差感応とセンサー寿命も確認しなければならない。
第四は行動の空白である。測定値があっても、誰が作業を中止し、誰が換気後の再入場を承認するかを定めなければ、警報は行動につながらない。適正空気の基準、自主警報基準、退避基準、通信障害時の措置を、作業許可書と教育に同じ言葉で入れなければならない。
統計を予防システムへ変えるための最小実行案
統計が示す結論は単純である。窒息事故の絶対件数を誇張する必要はなく、発生したときに複数人へ広がり、死亡につながる可能性が高いという事実だけで、事前統制が必要である。最小の実行単位は測定器の購入ではなく、一つの高リスク作業のデータの流れを最後までつなぐことである。
事業場の密閉空間一覧から、今後30日以内に予定された作業を一件選ぶ。
想定ガスと酸素欠乏の原因を定め、必要なセンサー、測定位置、時点、担当者を作業許可書に記す。
入場前に換気前・後の値を分けて測定し、作業中に変化する可能性があれば、連続または定期監視を定める。
基準逸脱、装置異常、通信断のときの作業中止と退避の責任者を指定する。
作業終了後、測定漏れ、警報、再測定、作業中止の事例を検討し、次の作業の基準を修正する。
成果指標も、事故件数だけにしない方がよい。予定された密閉空間作業のうち有効な測定記録が結び付いた比率、再入場前の再測定遵守率、校正・バンプテストが有効な装置の比率、警報後に作業を中止するまでに要した時間、無許可の救助入場を想定した訓練の失敗項目を併せて見る。事故がなかったという結果より、危険を発見したときにシステムが実際に停止したかを確認する指標である。
国内の公式資料は、密閉空間の窒息災害が少なく見える場合でも、その結果は決して軽くないことを繰り返し示している。同時に、公表された10年要約値だけでは、個別事故における測定失敗の割合を計算できない。だから必要なのは、誇張した原因統計ではなく、追跡可能な現場データである。空間を漏れなく見つけ、必要な気体を正しい位置と時点で測定し、結果を出入り・換気・退避の決定につなげるとき、初めて計測の空白は縮小する。

